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桜梅桃華@女装・TSF小説
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【特別編】男の娘のための性別矯正下着 ー揺れる胸、走る俺は女の子:1ー

性別を溶かす禁断の下着

放課後、部活中のグラウンド。

遠くで野球部の掛け声が聞こえる。


「キャプテン、お疲れ様です!

「尚紀先輩、テーピング手伝いましょうか?」


汗を拭うたび、女子部員たちの視線がちらつく。

俺――高橋尚紀(たかはし なおき)は陸上部のキャプテン。インターハイ県予選まではあと二ヶ月。

怪我をしていなければ、いまごろ誰よりも走り込んでいなければいけない時期なのに……


「……ありがと。テーピングは自分でやるよ」

笑って答えながらも、内心は冷めていた。

『かっこいい』と言われるたびに、どこかむずがゆい。

俺が望んでいるのは、そんな言葉じゃない。


部活中、女子部員たちの姿を眺める。短いスパッツの上に揺れるランニングシャツの裾、絞られたウエストライン。

その向こう、校門を抜ける制服姿の女子がふと髪をかき上げる。

夕陽に透けるその仕草が、妙に眩しかった。


――どうして、あんなふうに生まれなかったんだろう。


焦りと羨望が胸の奥で混ざる。

怪我の痛みもさることながら、そっちのほうも苦しかった。



夜、家族が寝静まった時間。お風呂に入り自室に戻ると、カーテンを閉めて鍵をかける。

クローゼットの奥の段ボール箱。

そこには、誰にも言えない「もう一つの俺」が詰まっている。


レースのブラウス。

ピンクベージュのサテンのスカート。

細いストラップのキャミソール。


袖を通すたびに、心が静かになっていく。

サテンの生地が肌に“きゅっ”と吸いつく感覚。

それだけで、ざらついた心が溶けていくみたいだ。


「……やっぱり、女の子の服を着ると落ち着くんだよな」

唇の甘い香りが、空気にふわっと広がった。


――だけど、本当は。

――服だけじゃ足りない。


指先で髪を撫でる。

触れるたび、胸の奥がちくりと疼く。

俺は……本当は、女の子になりたいんだ。


でも、それは自分自身を裏切ること。

男子陸上部キャプテンとしての自分を否定すること。

だからこの気持ちは、誰にも言えない。



女装姿でSNSをぼんやり眺めていたとき、ふと目に留まった広告があった。


『1ヵ月で理想のボディラインに――性別矯正下着』


……なんだこれ。

詐欺くさいコピーに思わず笑ってしまう。


でも、スクロールする指が止まらない。

「毎日着けるだけ」「女性ホルモン不要」「自然に女体化します」

どの言葉も、まるで俺の奥底を見透かしているみたいだった。


(どうせ、詐欺商品だろ……)


それでも、気づいたら購入ボタンを押していた。

届くのが、少しだけ楽しみになっている自分がいた。


数日後。

真っ白な箱を開けると、甘い花のような香りがふわっと立ち上がる。

中には、鮮やかな黄色のブラとショーツ。

薄く光沢のある素材は、触れるだけで“すべすべ”と滑らかだった。


「……ほら、やっぱりただの下着だ」

それでも試しにブラをつける。

カップが胸に“きゅっ”と密着し、背中でホックを止めると、

一瞬、熱がじんわりと広がった。


(……なにこれ、ちょっと……あったかい?)


肌の奥に溶け込むような感覚。

サテンが呼吸しているみたいに、体温を吸い込んでいく。

そのままショーツを履くと、柔らかく包み込まれるような圧。

軽く腰を動かすと、生地が“さらり”と擦れて甘い音を立てた。


胸のあたりがほんのり熱くて、呼吸が浅くなる。

下着の香りが鼻をくすぐり、頭がぼうっとする。


鏡を見る。

ブラに押し上げられた胸元が、いつもよりふっくらして見えた。

まるで、ほんの少しだけ“女の子”になれたような気がした。



着けはじめて5日目。

毎朝のように、胸がちくりと痛むようになった。

シャワーを浴びると、肌がつるつるしていて驚く。


(え……これ、本当に効いてるのか?)


「……まさか、ね」


笑いながらも、心臓がほんの少しだけ大きく鼓動する。

恐怖よりも、奇妙な快感が勝っていた。


さすがに学校に着けていく事はできないが、取説によると毎日の着用は必須らしい。

夜、再び“それ”を着ける。

胸のカップを直した指先に、微かな鼓動が伝わる。

吸い込まれるように、体が熱を帯びていく。

サテンの当たりがやけに心地よくて、外したくなくなる。



着用から10日目、制服のシャツを着ようとした時に気が付いた。

いつもより胸元の生地が張っている。

乳房がほんの少しだけ盛り上がっている。


「……ウソだろ……」


笑いながら、震える手で鏡を見る。

そこに映っていたのは、見慣れた自分なのに――

どこか“違う”自分だった。


頬が薄く紅潮していて、目元がやわらかい。

まるで、女の子みたいな顔。


胸を押さえる。

やわらかい。確かに、存在している。


気のせいなんかじゃない。


息を飲んだまま、しばらく動けなかった。

怖いのに、どこか嬉しい。

罪悪感と快感が、ぐちゃぐちゃに混ざり合っていく。


鏡の中で、俺はそっと微笑んだ。

その笑顔が、あまりにも自然で――


「俺……戻らなくても、いいかもな」


呟いた声は、昨日よりも少しだけ高く響いた。


【2章へつづく…】

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