長い間執筆していたおなら小説(ゲップもあり)がとうとう完成いたしましたので支援者限定で先行公開します。
なお、一般公開(pixivなどに投稿すること)は1週間後を予定しています。
では、以下本文
「えーっとぉ……ここで大丈夫かな」
銀髪の少女は立ち止まった。目の前にはいかにもその裕福さを誇示するかのような大きなおおきな鉄の門があってその先にはひたすら緑の庭園しか見えなかった。ここあたりの土地は全てこの屋敷のために使われているので周りには他の建築物はない。暴力的ともいえる富の力に少女は息を呑む。
「わぁ……ここが…」
つかの間思考が止まってしまうが意識を取り戻して門の横に合ったインターホンを押した。ピンポーンと聞き覚えのある音がしてそこは普通なのかと少女は拍子抜けした。スマホでSNSをチェックし終わらないくらいの沈黙の後にきっぱりとした声が聞こえてきた。
「はい。どのようなご用件で?」
「あ、あのっ!あたし…あの…メイド……」
「……ああ。新人の方ですね?少しその場で待っていてください。」
そう言うとその声は聞こえなくなった。ジト目の少女は不安で周りのいたるところに視線を移したが、何も情報は頭に入って来なかった。
耳鳴りのするうるさい沈黙に耐え切れそうにも無くなったころにやっと門の奥の景色に変化が訪れた。黒いリムジンが庭園を区切る道を走ってきた。門の直前まで来ると待っていたとばかりに門がひとりでに開いた。驚いた少女は1メートルほどとびのいてしまった。
車の後部座席のドアが開き、誰かが下りてきた。クラシカルなメイド服に身を包んで、まとめ上げた真直ぐな金色の髪の毛をキャップでさらにまとめた彼女は威厳たっぷりに少女の方に近づいてくる。
「あなたがメイド希望の新人の方ですか?」
「ふぁ、ふぁい!?」
緊張で少女は素っ頓狂な返事をしてしまう。目の前の女性はその返事を聞いて顔色替えず言葉を続ける。
「そうですか。それではお屋敷の方へ行きますよ。車に乗りなさい」
そう簡潔に言うとその女性は踵を返してリムジンの後部座席の空いた扉の横に立った。
「…っわ、分かりました!」
数秒経ってやっと状況を理解した少女は慌てて車両の奥の方の席に座る。続いて丁寧な振る舞いで女性が座り扉を閉めた。
「運転手さん。それではよろしくお願いします」
「了解いたしました」
そんな会話が終わると車はゆっくりと動き始めた。屋敷までの距離は相当あるらしく5分程経ってもそれっぽい塊が見えてきたくらいだ。
沈黙がつらい少女は両手の平を膝の上にぴったりとくっつけたままひたすらにうつむいた。すると隣に座る女性の方から声をかけてきた。
「…すこしいいかしら」
「は、はい」
急に声をかけられて少女の体は蹴り上げられたサンドバックのように跳ね上がった。その様子に驚いた女性が少し微笑みながら話し始める。
「そんなに緊張しないで大丈夫ですよ。ただ…あなたのことを教えてほしいだけです」
「私のこと…?」
「ええ。実は私、あなたの名前も知らないの。ご主人様がメイドの人事は管理していらっしゃるから。今日からメイドの一員として働いてもらうのですからそれくらいは知っておかないといけないでしょう?」
少女を落ち着かせるような優しい口調で聞いてくる彼女に少し緊張が解けた少女は口を開いた。
「私…兎槻(うつき)まいって言います。その……このお屋敷にメイドとして働きに来ました。」
「兎槻さんね。教えてくれてありがとうございます。メイドとして働くは初めて?」
「はい…でも私、誰かにお世話…じゃなくてご奉仕するのは大好きです」
「そう、それはいいことね。私はここのメイド長をしている伊東チヨと申します。チヨさんで構わないですよ。」
「はひっ…!よろしくお願いします!ち…チヨさん……」
「兎槻さん、今日からよろしくお願いしますね」
そうこう話しているうちに屋敷についた。建物は典型的な西洋風のお屋敷といった感じで左右対称なレンガ造りの家だった。メイド長に引率されて兎槻はその建物の一室へと案内された。
「今日からここがあなたの部屋です。早速お仕事があるのですぐにクローゼットにある制服を着てメインホールまで来るように」
「わぁ…こんな広いお部屋いいの……あっ、分かりました!」
4畳程度の部屋でしかなかったが自分の部屋というものがなかった兎槻にとってはそれでも十分すぎるほどだった。兎槻の返事が聞こえるか聞こえないかのタイミングでさっさと部屋から出ていってしまったメイド長を追いかけるために彼女はクローゼットを開けた。
「わわっ…これが私の制服なの?」
そこにあったのは大量のミニスカのメイド服だった。しかも胸元が大きく開いている。想定していたよりも大胆な服装に少女は少し逡巡してしまった。
「…ううん、でも早く着替えなくちゃ」
そう思いなおすと兎槻はそのメイド服に着替えた。スタイルは良くないが出るとこは出ている体型をしているので胸元がこぼれそうなほどパンパンになってしまっている。
「んぅ…ちょっとお腹周りもきつい……」
オーダーメイドではないのでウエストも少しキツめであったがどうしようもないのでその恰好のまま中央のホールへと向かった。
そこにはメイド長と他十数人の兎槻と同じ格好をしたメイドと思わしき人たちがいた。
「ああ兎槻さん、やっと来ましたね。ほら、私の隣に来なさい」
そう言って手招きするメイド長に従い少女は隣で起立した。周りからの視線が少し痛くて少女はうつむいてしまった。
「それでは兎槻さん、改めて自己紹介をこれから働く同僚のみなさんにお願いします」
そう催促され、兎槻は口を開いた。
「わた、私は兎槻まいって言います…。今日から新人メイドとして働きますっ!田舎者の世間知らずですけど……よろしくお願いしましゅ!」
緊張で上手く口が回らなかったが何とか自己紹介を終えると同僚たちから拍手を受けた。それでなんとか落ち着きを取り度した兎槻がまた口を開いた。
「ところで…私の仕事って……?」
「…ああ、そう言えばまだ教えていませんでしたね。兎槻さん、あなたにはお嬢様の『御不浄係』をやっていただきます」
「ご…ごふじょ……へ…?」
メイド長が「御不浄係」と口に出した瞬間、メイドたちがざわざわと騒ぎ始めた。「そうか…そういえば」となにか納得する者もいれば「かわいそうに…」と同情する者もいた。どうやら良い役職ではないことは明らかだ。少女は質問した。
「すみません、それってどんな役目ですか…?」
「簡単に言うと、お嬢様が出されてしまう不浄なものの処理を行う係のことです」
「(……トイレのお世話ってことかな…?)あ、あの───」
さらに詳しいことを聞こうとする彼女を遮るようにメイド長が胸元の懐中時計を手に取って時間を確認した。
「あら、もうご主人様たちのお昼食の時間ではないですか。皆さん、お仕事に戻りますよ」
そういうとメイドたちは蜘蛛の子を散らすようにあちらこちらに向かっていき普段の業務へと戻っていった。メイド長と兎槻だけがその場に残った。
「あ、あのチヨさん…」
「兎槻さん。あなたには早速『御不浄係』の仕事をしてもらいます。こちらに来なさい」
「は、はいっ!?」
質問する暇もなく少女はメイド長が向かう方へついていった。メインホールを奥に出て階段を上ってすぐの部屋に入ると、そこには真っ白なテーブルクロスを敷いた大きなテーブルとそれを囲むように装飾された豪華なイスが並べられていた。どうやら食事を行う部屋であるらしい。
兎槻が部屋に入ると間もなく他のメイドたちも入ってきた。コンテナのようなもので料理を載せた皿を運んで席に食器を置いたりして昼食の準備を行っている。自分も手伝おうかと少女が動こうとするとメイド長に止められた。
「兎槻さん。あなたは給仕係ではないでしょう」
「あ…分かりました……」
あくまで自分に与えられた役割に徹しろということであった。しかし兎槻は自分の役目が何なのかまだピンと来ていないため何か催しているかのようにそわそわしてしまう。
食事の用意が済んだタイミングでもう一度部屋の扉が開いた。すると豊かな黒いひげを上唇と鼻の間に蓄えてシックなスーツを身にまとった壮年の男性と、お姫様のようなラベンダー色のフリフリのドレスを身にまとった黒髪の幼い女の子が入ってきた。男性の立ち振る舞いからしてメイドたちを使役している「ご主人様」であることは明白である。
「む、君が新しいメイドかね…『御不浄係』の?」
席に着こうとした男性が見ない顔だという様子で兎槻に問いかけてきた。
「ははは、はいっ!わ私は兎槻まいと申し上げまする……申しましゅっ!!」
急に話しかけられた新米メイドはしどろもどろで受け答えた。隣で見ているメイド長はやれやれといった様子で注意しようとしたが男がそれを止めた。
「いや、大丈夫だ。まだ新人だししょうがないだろう。私はこの屋敷の主人です。兎槻さん、それでは今日から頼むよ」
「し、承知いたしました!」
なんとかまともに返事をする兎槻をみて彼はうなずき、そして席に座った。いつの間にか女の子も席についている。
昼食が始まった。ご主人の食べているものはどうやらコース料理らしく給仕係のメイドは絶妙のタイミングで次々と料理を出していく。女の子が食べているのはよくあるお子様ランチをできるだけ豪華にしたようなものだ。
その様子を見ながら兎槻はなぜ自分がここに連れられてきたかを考えていた。「お嬢様」はあの女の子だろう。それなら彼女のトイレの世話をする自分はなぜここにいなければならないのだろう?昼食の後すぐトイレに向かうのだろうか?いやそれとも…
そんなことを考えているとその女の子が口を開いた。
「ねえ、おとうさま。わたしちょっと……」モジモジ
白く澄んだ頬をほのかに赤く染まらせながらお尻を小刻みに動かし、上目遣いで父親を見て恥ずかしそうにしている。
「……チヨさん、兎槻さんを」
ご主人は彼女の言葉を聞いてそう言った。するとメイド長が兎槻にお嬢様の方へ向かうように手でジェスチャーをした。
「さあ、役目を果たすのですよ」
そう言葉を付け加えると突然のことで言葉も出ない新米メイドの背中を少し押した。
困惑した兎槻は呆然としながらもなんとかテーブルをはさんで向こう側に座っているお嬢様のもとに向かった。何をすればよいのか分からず彼女の隣で立ちすくんでいるとその食事中の小さな女の子はこちらをのぞき込んできた。
「ねえ、こちらにお顔を近づけてくださる?」
幼い顔つきに似合わない上品な口調でそう言ってきたので兎槻は女の子の視線に合うよう自らの顔を近づけた。すると彼女はそうじゃないと言いたげに顔を横に振った。
「そうではなくて…こちらと言っているの」
よく見ると女の子は片尻をあげる体勢になっていて、そのフォークを持っていない方の手は自らの尻を指差していた。ぎょっとした兎槻は思わずうろたえてしまう。
「こ、ここにですか!?」
「ええそうよ。早く」
きっぱりと言われた兎槻はそれでも迷っていたが、ここでぐずぐずしていてはやっと手に入ったメイドの仕事がおじゃんになってしまうと思い覚悟を決めてお嬢様のお尻をのぞきこんだ。
「もっと近くに」
そう命令されて接近する。お嬢様のドレスからはハーブの良い匂いがした。
「もっと」
「えっ!でもこれ以上は…その……」
「いいから!」
強めの語調で命令された兎槻はどうにでもなれという気持ちでめいいっぱい顔を近づけた。完全に顔とお尻がくっついていて鼻がお尻の谷間の部分にすっぽり埋もれてしまっていた。
「そうそれでいいです。それではいきますよ……ん…」
そう言うとお嬢様はいきみ始めた。一瞬の沈黙が起こりそれまで急展開に頭がついていっていなかった兎槻がやっと思考をし始める。
(え?え!?なにこれなにこれ!?私お嬢様のお尻に顔を埋めちゃっているしそれに「いきますよ」って……もしかして…「御不浄係」って………)
「ふぁの、おじょうさふぁ…」モゴモゴ
口をスカートにくっつけた状態でもごもご喋る兎槻だったがもう遅かった。
「……んぅっ」
ぶぶぅうううううううううううううううううっ……むっすぅ~~~…~~………~~~~……しゅかぁ~~~~……
「~~~ぅんっ!?………!がふっ!!」
可憐な見た目からは想像できない澱んだガスが兎槻の鼻に直で流れ込んできた。腐敗した卵を蒸らしたような臭いに悶絶する兎槻。あまりの臭いに全身から汗が噴き出した。その反応がお嬢様の反感を買った。
「ちょっと、ちゃんと吸い込んでください。臭いがこちらまで漏れてきていますよ」
その強烈な腐敗臭はお嬢様の肛門と兎槻の鼻の間の隙間から少し漏れ出ただけであるにも関わらずその部屋全体を支配していた。その場にいる全ての人が顔をしかめた。
「ほらちゃんと嗅いで。ほら」グリグリ
臭いを擦り付けるようにドレス越しにお尻の穴を鼻に擦りつけてくるお嬢様。兎槻はなんとか正気を保ちながらふがふが鼻をならして濁った空気を吸い込んだ。
「ふうぅ……はへぇ………」
なんとか臭いがしなくなるまで嗅いだ兎槻は口をだらしなく開けてよだれを垂らし、目は涙目になっていた。
「そうそう、それでいいの。…あっ、またでる」グイッ
「ふぇっ」
お嬢様が兎槻の顔を尻で塞いだ。肛門の位置はちょうど空きっぱなしにしていた口に重なった。
ぶりっ!ぶびゅっ!!ばすっ!ぷ…ぷすっ……ボシュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ………
「あっ…あぁっ……ぐっ…ふがっ」
おならだけではなく実も出てしまったのではないかというほどの汚い音の屁が兎槻の口内を満たした。あまりの勢いに口が膨らみハムスターのような間抜けな顔を晒してしまう。臭いも尋常じゃなく排泄物そのものの臭いに兎槻はそのまま嘔吐してしまいたかったがなんとかそのガスを胃に流し込んだ。
「あぐ…うぅ……うくっ………!」
「よく呑み込みましたね。ありがとうございます。もう出なさそうなので下がっていいですよ」
にこやかな顔でそう言われ兎槻は顔が汗やら涙やら唾液やらでびしょびしょになり、しかも口から排泄物と腐った卵の臭いがこびりついた状態でメイド長のもとへ戻った。
ほどなくして昼食は終わり、初めての仕事を終えた新米メイドは一度自室に戻って臭いの染み付いたメイド服を着替えることをメイド長から命令されるのであった。
それから十分後、クローゼットにある替えに着替えた兎槻は自室の流しでえずいていた。
「うえっ!がふっ!………うぅ…『御不浄係』がこんな役割だなんてぇ…おえぇっ」
お嬢様のおならの臭いをその身で消臭するという過酷極まりない役職、それが「御不浄係」だったのだ。その臭いが軽いものであればまだ楽であったのだがスカンク顔負けの悪臭を直接嗅ぎ取らなければならないのだからどうしようもない。
「うっ……でも私がみんなを養わないと……」
「兎槻さん、着替えは済みましたか?」
突然ガチャリと部屋のドアが開き、メイド長が入ってきた。流しに頭を突っ伏していた兎槻は飛び上がるように姿勢を正す。
「は、はいっ!」
「そうですか。では次の仕事があるのでついてきてください」
「……はい」
「次の仕事」と聞いて表情が曇る兎槻。その様子を見かねてか移動中にメイド長が話しかけてきた。
「…メイドが嫌になりましたか?」
「正直…少し」
「まあ無理もないことです。今までこの役職を続けられた者は一人もいません。大抵1週間もたたずに全員やめていってしまいます」
「それで求人があんなに……私もそうなると思います」
「それでもかまいませんが…養わなくてはいけない人がいるのでしょう?」
「っ!聞こえていたんですか…?」
「無理にとはいいません。頑張れるかどうかはあなた次第です」
「…………はいっ」
「それでは今からあなたにやってもらう仕事は───
………
……
…
兎槻は屋敷のある町から離れて繁華街に出ていた。隣にはお嬢様とそのお世話をするメイド数人がいる。お嬢様は繁華街の雑多な街並みに眼を輝かせている。
曰くこれはお嬢様が毎週楽しみにしている「お散歩」だそうなのだ。普段上品で清廉な生活をしているお嬢様からすれば、一般大衆の暮らしぶりはさぞ刺激的で面白いものだろう。
そして、そんなお散歩中でも出るものは出てしまうわけで……それの処理を行うのが今回の兎槻の役目であった。
「見てみてみなさん!あの大きなカニさんはいったい何でしょう!すごい…すごいわ!」
お嬢様は某カニ料理専門店の看板を眺めて目を輝かせている。兎槻も正直始めて見る光景だったので内心驚いていたが彼女の興奮具合はその比ではなかった。
「わあ!なんて大きなスクリーン…家のテレビにも負けてないわ!あれは何かしら……『無料案内』…?わっ、ちょっとどうして見させていただけませんの!?」
あまりに刺激が強いものはメイド側の判断で見せないようにしながら散歩を続けていく。このまま何事もなく終われと何度も兎槻は祈った。
しかし、そう上手くはいかないものである。
もうそろそろ引き上げる頃かという雰囲気になったときの頃であった。お嬢様が兎槻の方を向いた。
「顔を近づけてくださる?」
兎槻は条件反射的にびくっと身体を跳ねらせてしまう。覚悟を決めてゆっくりとフリルのスカートに顔をうずめた。すると彼女は首を振って。
「そうじゃなくて…こんどは顔の方に」
と言った。「えっ」という吐息交じりの困惑の声を漏らしつつも、命令通りに尻ではなく顔の方に自らの顔をもっていった。
兎槻のお嬢様。二人の目と目が合った瞬間、女の子の方から顔をさらに近づけていき、二人の唇が重なり合った。
「んむ………っっっ!?!?!?」
にわかに唇を奪われて兎槻は茹でだこのように真っ赤になる。
「ん……れる………」
そうお嬢様がもごもごと喋ると、地響きのような音が鳴り響いた。
ぉえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛っ♡♡ぐぇえええええええええええええっっっぷ♡♡♡
「うごっ!?!?!?!?んぐ……う゛っ…っ~~~~~~~~~!」
お嬢様の胃や腸で発酵された悪臭ガスが直通で兎槻の胃と肺に流し込まれる。要するに口移しでゲップを吐き出された御不浄係はその吐しゃ物や排泄物を混ぜたような不快な臭いを耐えようとしてえずき、涙目になってしまう。
「ふう……すっきりしたわ。周りには聞こえていませんわよね?」
お世話係のメイドに尋ねる女の子。どう考えても音が大きすぎて貫通していたが機嫌を損ねさせないためにメイド達は笑顔でうなずく。
なんとか受け止め切った兎槻は今にも吐きそうな様子で虚ろな表情をしている。鼻の穴や口から先ほど吐き捨てられたゲップの残り香が漂っていてそれでまた催してしまう。それでも本当に吐いてしまうことはなく、散歩は無事終了したのであった。
………
……
…
「おえ゛ぇええええええええええええええええええええっ…!」
屋敷まで戻ってきて小休憩を与えられた兎槻は自室の手洗い場で嘔吐していた。彼女の顔からは血の気が引いており、過呼吸で肩を激しく上下させている。
「あっ…あんなにっ…あんなにくさっ、臭いなんへぇ……う゛っ!?っ…はあ……」
おおよそお人形のような可愛らしい見た目をした女の子が出していい臭いではない凶悪な激臭を1日に二度も嗅がされてグロッキーになる新米メイド。その顔はもはやどこから出たかもわからない汁でぐちょぐちょになっていた。
そんな彼女の精神を追い詰めるかのように彼女の部屋の扉が叩かれ、メイド長の呼び出しがかかった。
「兎槻さん。緊急の呼び出しです。ついてきてください」
「……………はい」
そう返事をする他なかった。兎槻はメイド長が歩く後に続いて移動する。昼食のときに使用した部屋が面している廊下の突き当りに特別豪華に金で装飾された淡い桜色のドアの部屋があった。メイド長の命令に従ってその扉を開ける。その部屋は予想通りお嬢様の自室らしく中ではお嬢様が大きなソファの上でうつ伏せに寝転がって読書をしていた。
「早かったわね。さあ、こっちおいで」
手招きして自分の所に来るように命令する。兎槻はふらふらとした足取りで近づいた。その顔は既に恐怖にそまっており、冷や汗が滝を作っていた。
「今読んでいる本はね、素敵な二人のロマンスなの」
幼い女の子は純朴そうに、しかし不相応な言葉を使いながら唐突に話し始めた。
「ロマンス…ですか」
「ええ、本当に素敵なの。読んでいてうっとりしちゃうくらい」
「それは、よかったですね」
微笑みたいがひきつった笑いしかでてこない。
「でしょう?それでね…そんな傑作には『この臭い』は似合わないと思うの。だから」
「っ……はぃ…」
恐怖で返事が弱くなる。
「全部、嗅いでちょうだい」
唐突に彼女は兎槻の頭をつかんだかと思うと自らの尻に押し付けた。
「っ!?!?わぷっ…!」
スカートにつつまれた小さく未発達な触感が兎槻の顔に伝わる。次の瞬間、
む゛っっっっずぅううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう………~~~~~………~~~~……~~~~~~~~~~っっっ♡♡♡ぶむぅうううう♡すぅ~~~~~~~…………~~…~~~~~~~♡♡♡♡♡
「いやっ!いやっ!い゛やっっっっっ!いやだいやだいやぁあああああああああああああああああああああああああああああっっ!?!?!?お゛ぇえええええええええええええええええええっ!!!!あ゛ぁあああああああああああああああああああ!?!?!?」
長いながい「吸引作業」が始まった。お嬢様の肛門からはどぶ臭い腐れっ屁が絶え間なく漏れ出て兎槻の鼻の粘膜を犯し続ける。今日就任したばかりの新米メイドは人前、ましては主人の前では絶対に出してはいけない声をあげて震える。
「ちょっとお静かに。んっ…まだまだ……」
ずぅぅぅぅぅぅううぅうぅぅぅううぅぅうぅう~~~…~~~………っ
「くさいくさいぐざい゛ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」
「あっ………」
むぶぅううううううううううううううううううっ♡♡ぶるるるるるるるるるるるるるるるるるるるぃぃぃぃぃっ♡フシュルルルルルルルルルルルルルルルルゥゥゥゥゥ♡
「っ!……っ!っ!!!っ!っ!…………つ!」
「もう……ちょっと………」
ぷすぅううううううううううううううううううううううううううううううううう………………
「や……ぁ………ぁ………──────────」
兎槻が目を覚ますと、そこは保健室のような場所のベッドの上であった。傍らにはメイド長が怒ったような、憐れむような眼でこちらをみている。
「やっと起きましたね。丸6時間は寝ていましたよ」
「ぇと…何が……どうなって………っ!」
寝ぼけていた兎槻だが一瞬で気を失う直前の記憶がフラッシュバックした。
「あのっ!私…あの後何しちゃったんでしょうか……?」
「あなたはお嬢様の御不浄を処理している途中に倒れて、あげくそのまま嘔吐してしまったのですよ。お嬢様はあなたが役割を正しく果たせなかったことに大変お怒りでした。」
「それはその…ご、ごめんなさいっ!」
正直な所、お嬢様の屁とゲップが臭すぎるのが原因だと思う兎槻だったが謝るしかないと判断し即座に謝罪する。
「まあ就任初日ですので大目に見る、ということでお嬢様は就労続行のお許しを出されましたので明日からはきちんと働くように」
「っ…それは…あ、ありがとうございます」
兎槻は苦虫を嚙み潰した状態で笑おうとするような表情で答えた。このままクビにされたらどんなに良かったかとメイド長から視線をそらして思った。
「それでは自室に戻って睡眠をとりなさい。もう次の勤務時間まで3時間ほどしかありませんよ」
「わ、分かりましたっ!」
兎槻は慌ててベッドを飛び起き自室に向かい、そのまま自分のベッドに倒れ込んだ。おそらく臭いが染み付いて使い物にならなくなったのだろう、保健室の時点で自分の服装は共用のパジャマになっていた。
一日でたまった肉体的・精神的疲労のせいかまどろむのが早い。消えゆく意識のなか兎槻は考えていた。
(メイド…ずっとなりたかった憧れのお仕事……自分で決めたことだし………ちゃんと、やり切らないと…お母さん…みんな……お金の心配はさせないからね………)
兎槻は死んだように眠りについた。
外は、日が昇りそうもないほどに暗い、夜明け前だった。