「はぁ喉乾いた 何か飲み物あったかな?」
大学から帰宅したのも束の間、冷蔵庫の扉をあけたマミは綺麗に整頓された食品の横隅に、1本の牛乳瓶を見つける。
「そうだ これがあったんだ」
数日前に友人たちと出かけた牧場。そこで購入した牛乳をマミは一気に飲み干した。
「美味しい!やっぱり牧場の牛乳は違うなぁ」
喉も潤い、機嫌を良くしたマミは学校の疲れもあってベッドに横たわり、ウトウトし始める。あと少しで眠りに落ちそうになったその時、体の芯からジワジワと熱が上がってきていることに気づく。
「なんだろう…ちょっと疲れちゃったかな?」
微熱と油断し、横になっていると熱はどんどん高くなり、悪寒とともに心臓が高鳴る。
「これ、ちょっとまずいやつかも…薬、薬」
ベッドから立ち上がろうとするも、バランスを崩し床に座り込んでしまう。
「痛たた…あれ?なにこれ」
床についた自分の腕に、白い毛のようなものがついていることに気づく。動物の毛のようなそれは、くっついているのではなく、確実に自分の肌から生えている。
「と、とりあえず薬」
再度薬を求めて立ち上がろうとするも、なぜか上手く立ち上がることができない。どうやらこれは熱のせいではなく、自分の体の形そのものに何かが起きているようだった。マミは足に目をやる。
「へ?」
そこには人間の骨格とは違う、踵から先が伸びたような足があった。同時に体中から汗が噴き出す。それは焦りからではなく、これから彼女が人でなくなることを知らせる体からのサインだった。
「はっ はっ はっ…」
息は荒くなり、変形した足はどんどん別の姿へと変わっていく。腕に生えていた毛は、その範囲をジワジワと広げ、同じような毛の塊が体のいたるところに現れ始める。時折ミシミシと骨が軋む音が部屋に響き、その都度マミの体は少しずつ大きくなっていった。
「なにこれ?なにこれ!?やだ…どうしよう!?」
すっかり変形した足の先は蹄になり、大きくなる体に耐え切れず、音を上げて裂けたジーンズからは白と黒の毛に覆われた大きな太ももが顔をのぞかせていた。胸や腹には脂肪がつき始め、もとのスレンダーだった彼女の姿はもうどこにもない。追い打ちをかけるように、下腹部はゆっくりとふくらみ始め、そこには4つの突起のようなものが現れる。そんな変化に気を取られ、自分の頭やお尻に新しい器官ができ始めていることにも気が付けないでいる。
「こ…これって…う...モォ…」
白と黒の体毛に体は覆われているが、乳房とお腹の下のそれは綺麗なピンクをしており、その内側では大量の母乳が絞られるのを今か今かと待っている。重たい体を動かすたびに、マミの口からは呻き声がこぼれた。体中の熱が、顔面に集まってくる。
「はーっ はーっ うっ ぐうっ!ブモッ!」
顔の内側から、外側に向かって強く押されるような感覚。今まで感じたことのない感覚に、マミは呻き声をあげ、だらりと舌が垂れる。それは人の舌と呼ぶには長く、太い。鼻孔が広がり、鼻と口がメキメキと前に突き出ていく。
「モォォォォォッ!!」
たまらずあげた大きな鳴き声。それは人間の声ではなかった。
「フーッ フーッ」
顔の変化を最後に、さっきまでの熱や体の変化はすっかり治まった。
「私… 何が起きたの?どうなったの?」
四つん這いになり、下腹部の新しい乳首を床に引きずりながら、やっとの思いでドレッサーにたどり着いたマミは、鏡に映る自分の姿を見て言葉を失った。
「嘘… なに…これ?」
そこには巨大な牛の怪物が、絶句した表情で自分を見つめている。
「ゆ 夢だよね? 夢に決まってるよ こんなの…」
混乱し、鏡を見つめたまま固まってしまうマミの意識とは関係なく、体の後ろでは太く長い立派な尻尾が力なく揺れていた。
マッケンジー
2024-04-01 11:23:38 +0000 UTCユウキ
2024-03-31 20:29:21 +0000 UTCFだい
2024-03-31 20:04:28 +0000 UTCももも
2024-03-31 17:16:44 +0000 UTC