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Jin(鬼頭ジン)
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スーパー・グレート・インセクト・コクーン

 小学4年生の、相武車食人は虫が大好きな少年だった。夏休みになるとお気に入りの森へ家族に連れて行ってもらっていた。  捕まえた虫は飼ったり標本にし小学校の自由研究にしたりと、本人なりに明るい虫捕りライフを楽しんでいた。  今年の夏も親に頼みこんで、毎年大きな森のある自然キャンプ場へとやってきていた。 「カイトー! あんまり危ないとこ言っちゃダメよー!」 「わかってるー!」  カイトは車を降りるとお気に入りの虫カゴと網を持ってすぐさま森へと走っていった。毎年よく飽きないものだと親は言うが、カイトにとってはそんな親の言葉も気にならないほどそれを楽しみにしていたのだった。 「よーし! 虫、いっぱい捕まえるぞー!」  元気に森の中を走り回り蝶や蝉などを捕まえるカイト。大好きな虫と触れ合えるこの瞬間がカイトは大好きだった。虫と一緒になれるなら一生ここにいてもいいし、いっそ虫さんになってみたい――などということすら思っていた。それがいけなかったのだろうか。そう思わなければ、あんなことにはならなかったのだろうか。  これから、カイトの身に起こるとんでもないことを、本人は知るよしもなかった。 「おーっ! すげぇー!」  昼も過ぎた頃、昼食も食べず虫を探していたカイトは興奮のあまり目を輝かせていた。そこには大きくて格好いいカブトムシが木に止まっていたからだった。  しかもここまで大きなカブトムシは滅多に見ない! 図鑑で見たものより大きいかも知れない! そう思うとカイトは居ても立っても居られなかった。 「よーし、動くなよ……俺のカブトムシっ! えーい!」  そう言うとカイトは、早速そのカブトムシに虫取り網を振りかざした! 「……やった!」  カブトは微動だにせず網に捕まる! カイトは思わずにんまりと笑みを浮かべた。これでこのカブトは俺のもの! カイトはそう思うと笑いが止まらなかった。しかし―― 「これで友達に自慢でき……うわっ!?」  そのカブトムシは捕まった途端、ぐるぐると白い糸を吐き出すと、いつしかピンク色の繭にその姿を変えたのだった。  しかし、図鑑ではカブトムシは体をサナギに変えて成長すると書いてあったはずなのに……カイトはそう思った。 「なにこれ……」  不思議に思い網を離し、直接手で触れようとするカイト。成虫にも関わらず、突然糸を吐き繭と化したそのカブトムシが気になったからだった。それはちょっとした好奇心のはずだったのだ。  カイトの指先が、繭にちょんと触れる。すると―― 「うわあっ!」  繭は無数の糸となり、カイトの全身を覆い始めた!  カイトは身体中に糸が巻きつき身動きが取れなくなる。いつしか顔面にまでその糸は到達していた。 「何これ……やめて、やめ、んぐむううぅっ!?」  口を塞がれ息苦しさに呻くカイト。しかしカイトを包む糸は決してそれをやめてはくれなかった。  そして……カイトは糸に包まれ、人間大の繭へと変貌したのだった……     ◆    ◆    ◆  8月某日、某県小学校4学年の男子児童、相武車食人がキャンプ場内の森へ行ったっきり行方不明になったというニュースが流れた。  夜になっても帰って来ることはなく、さすがに心配したカイトの両親が森へ探しに行ったがカイトは見つからず、最終的には捜索願いが出されとうとう夏休みが終わる頃ニュースになったのだった。  しかしカイトはどこにも消えてはいない。ずっとあの森の中にいたのだ。あの繭の姿のまま、ずっと……  そして半年が過ぎ、2月中旬……すっかり寒くなり雪が積もっているその森で、新たな命が生まれようとしていた。  ――パキッ、パキ……  相武カイトだった繭が、まるで殻か蛹のように硬化すると、ひび割れながらその役目を終えようとしている。そして中からは低く唸るような声が聞こえていた。  繭がバリリと音を立てて割れると、無数の粘液に塗れ巨体が露わになった。 「グオオオオオオ!」  地響きのような声を上げて出てきたのは、先程の繭とは明らかに大きさがひと回りもふた回りも違うような巨大な人間だった。いや、それは最早人間ですら、なかった。  全身鋼のような筋肉に覆われ、体の表皮が茶褐色の硬い装甲を纏っているかのように黒光りしていた。  頭にはまるでそれが彼のシンボルであるかのように屹立する一本角が。その瞳は不純物が混じってしまったサファイアのような蒼色をしており、その下に琥珀色の地肌と鮫のようにぎざぎざに変化した歯がちらつく。  新たに生まれた翅を開きぶるんぶるんとその身を奮わせる。股座には松ぼっくりのようにたわわに実った果実と、それを際立たせるかのようにヌラヌラと光る雄の象徴。  鼻息を荒くしながらうおんうおんと雄叫びをあげるその姿は、まさに甲虫人間と呼ぶに相応しい容貌だった。そしてそいつは、半年前繭に包まれ行方不明となった相武車食人本人だった。 「ぼ……僕、一体どうしちゃったの……ここどこ……? 今、冬……?  夏だったはずなのに……」  低く渋い声から発せられるのは、あの日繭に包まれる前と同じ、幼く純粋な口振り。いくら姿は雄々とした益荒男だったとしても、あくまで中身は小学生男子そのもののままであった。 「いやだ……僕こんな変な体になるの嫌だよ! ううっ、人間に戻してよ!!」  虫人間と化したカイトは、その姿を確認するなりおんおん声をあげて泣き出した。当然だろう。ただの小学生だった自分がこんな姿になってしまったのだから。 「ぐすっ……どうしよう……  こんな体になっちゃって……お父さんやお母さんの所に戻っても、『あなた誰?』って言われちゃうよきっと……」  いくらか泣いて落ち着いたカイトは、ふたたび自分の姿を確認する。筋肉が詰まってパンパンに膨らんだ腕や脚。見惚れるくらいバルクアップした胸筋、腹筋――そんな大人でも惚れ惚れするほどの肉体を手に入れたカイトは…… 「ちょっと、かっこいいかも……」  そう思った。思ってしまった。 「うっ!?」  カイトが自分の今の身体を認識しはじめた瞬間、グッ! と直線上に直立していたソレが、カイトの感情に呼応してさらに真っ直ぐ前に前に伸びる。鈴口からはビュルビュルとカウパー汁が飛び出しはじめた。精通を迎えていない子供にはまだ早すぎる感覚だった。 「なんだっこれっ、すごく、きもち……っ!」  カイトは思わず、ぐぐり。と突き出したふっくらとした胸筋を撫でる。無意識の内に乳首の周りを指でなぞり揉みしだくと、さっき以上に気持ちいいという感覚がカイトの脳内を支配する。自分の身体などに興味などなく、ゲームやマンガなどごく普通の子供の普遍的の趣味を持っていたカイトにとってはこの感覚は新鮮で甘美なものとして映っていた。  しばらくこの快楽を楽しんだあと胸筋を触るのをやめたカイトは見様見真似にポーズを取りはじめた。 「ん……ほっ、はっ! ……ふんっ!」  その度に、岩のような質感の筋肉が誇示される。  漫画やアニメに出てくる主人公のように次々と色々なポーズを取ってみせる。そうやっていると、まるで今の自分その漫画の中のヒーローのように思えてきていた。 「すげえ……かっけぇ……僕はヒーローだ……」  かっこいい。エロい。強そう――カイトはさっきまで醜いとまで思っていた自分の変貌した肉体を受け入れつつあった。 「僕は、虫さんヒーロー・カブトマンだっ! ククッ!」  つい無意識に、にっと笑ってみせる。ポーズを取るたびに自らの雄が喜びの先走りの涙を迸らせるのだ。  気が良くなったカイトは、とうとうその巨大化したカブトマラを、両手で包むように扱き出した!  ぐちゅぐちゅ! しゅっしゅっ! ずずずずりっっ!  力任せに擦り上げるその手をもう止める事など不可能だった! 「あぐっ、ぐぅ……すげえ! すげえよこれ! どうなってんだ僕の体!  僕はこの強くて大きい体になって! ちんちん触ってる! すごく気持ちいい! もっとチンコゴシゴシしたいっ!」  雄叫びをあげて自らの意志を表明するカイト。 「ゴシゴシ、ゴシゴシ…………あっ! なんか出る! おしっこ出る!」  そしてそれは今の彼としての遺言でもあった…… 「おごおおおおおおおおおおおおおおおおぉおおおおおおおおおおぉおおぉおぉぉおおおおおおおおおおぉおおおおぉおおお!!」  がりいっ!!  カイトのごつい指先が雁首を突いた瞬間、ぶりぶりとした濃厚なセーエキがカイトの巨大カブトマラから発射された!  それは黄色がかかって粘っこく、まるで蜂蜜の入ったヨーグルトのようだった。そしてむせ返るチーズのような臭いが森を漂う。  時間としては半年――4416時間しか経っていなかったにも関わらず――その20倍近くの年月をかけたかのような濃く熟成されたモノが彼の鈴口から飛び出したのだ。本人としても何が何だか分からないだろう。 「うへえ……気持ちいいよう……凄いやぁ、おしっこ、なのかな……ナニコレ……  って臭っさ! なにこの臭い!」  むせ返るような異臭に思わず無い鼻を摘もうとする。そんな臭いに誘われてか、招かれざる客人が彼のもとへとやってきていた…… 「えっ……む、虫が、こんなにいっぱい……?」  そこには蝶に蜘蛛、蟷螂に蜻蛉に蝉――甲虫に団子虫に鍬形虫――季節を無視したかのようにわらわらと現れる様々な種類の虫達。どうやら彼が発射した精には彼らを呼び寄せるフェロモンのようなものが含まれているらしく、虫達はそれに反応してやってきたのだろう。 「うわ、こんなに! や、やめて、こないで! うわっ!」  虫を振り払おうとしたがうまく振り払えず、とうとう虫達がカイトの体を這いはじめた。その虫達が群がる位置は、みな漏れなく角以外の彼のもう一つのシンボルとも言えるであろうそこに集まっていた。  ――フェロモンの発生源である陰茎である。 「あんっ、そこ、ダメだよ! さっき出したからっ、やっ、やめてえぇ!」  射精したばかりで敏感になっている位置をたくさんの虫が這いずるその感触は、カイトにとっては地獄であり、天国でもあった。  先走りと精液でヌルヌルになった陰茎が刺激され、カイトは虫によって搾精される。 「あっ、あっ! うおお!」  あまりの気持ちよさに頭を押さえ声をあげることしかできないカイト。そのカイトの頭の中では、快楽とともに楽しかった思い出や大好きな虫の事が霞のように消えていってしまっていた。  一回射精し一回快感を迎える事で大切な相武車食人としての記憶が失われていく。勿論頭の中でカイトはそれに抗ったが、そんなもの射精の気持ちよさには泡沫にもならなかった。 「やべえ! すげえ! なんか知らねえけど気持ちいい!  僕……オレ誰だったっけ!? もう忘れちまった! でもこのオレには関係ない記憶だったはずだからっ! 別にいらねえ!!  オレはっ、オレは、オレはあああっ!!」  通算三十五回目の射精を終えたカイトは、とうとう虫を追い払い、腰に手を当て高らかにこう宣言した。 「オレは、スーパー・グレート・インセクト・カイト! ビートル、カブトムシのインセクトだ!」     ◆    ◆    ◆ 「ククク……ふんっ! はっ!  ……やっぱりオレってカッコいいぜ」  身も心もすっかり生まれ変わったカイトは無意識にビルドポーズを取っていた。筋肉を誇示し雄を仲間に見せつけ同族を魅了する――それだけが彼の生きがいとなっていた。  最早、小学生としての彼は微塵も残ってはいなかった。 「ガッハッハ! さァて、この素晴らしき肉体を手に入れた暁には、この星の人間や虫達を虜にしてェもんだな。  今は虫も眠るようなこんな冬の日だが、春になれば虫も人間も、活発になる。そん時がオレの働き時だな」  そう独りごちるとカイトは穴へと潜っていった。  春に向けて力を蓄えるため……  二ヶ月後――  桜舞い散るキャンプ場では、観光客が花見目的で連日大賑わいだった。 「うぃ〜、わりぃ。ちょっとそこで花摘み〜♪」 「川に落ちんなよー」 「バッカ、トイレっていぅ文明の利器がよぉ〜、あんじゃんかよおぉ〜」  建設作業員の打ち上げで気分良くくだを巻く酔っ払い。そんな彼が向かったトイレでは、冬眠から覚めた彼が待ち受けていたのだった…… 「しっし、しっし、しっこっこ〜ってぐっ!?」 「へへ……ハッテン場へようこそ……アンタが今月12人目のお客さんだな?」 「んん、んんんううっ!?」  そこには目をギラつかせたカイトがいた。すでに小学生だった頃の面影はチリひとつ存在せず、二ヶ月前は覚醒したとはいえ未だ不安定だった虫男としての人格を完全に定着させていた。 「ここはオレらスーパーグレートインセクトのハッテン場でな……セックス仲間をオレの好みで増やしてるってワケだ。   お前もオレらの仲間になってもらうぜぇ……ククク」 「な、仲間なんて、いねえぞ!?」 「そこにいるじゃねェか。なァ?」 「!」  そこには、彼以外に11の影が存在していた。どれも彼に似たり寄ったりの屈強な雄達で、自分達の“番”をいまかいまかと虎視眈々と見つめている―― 「それじゃあ、はじめんぜ。はじめは痛いかも知んねェけど、オレの特製ローヤルゼリーがそんな痛みすぐ消してくれッから……」 「いやだ……やめてくれぇ!」  ――。  彼の抵抗も虚しく……  カイトの巨根を無理やりアナルに突っ込まれて十分足らずで彼の開発は終了してしまった…… 「くあっ、すっ、すっげぇ、なんだこれ」  グチュッ、グチュッと腸の襞とカリがすれ違うたび、男の全身からとてつもなく甘い快楽が駆け巡る。  このままイカされても構わないというくらいの天国が脳内に広がっていた。カイトが生まれ変わってから11人で経験してきたテクが男を天にも昇る心地にさせる。  そして、とうとうフィニッシュの時がやってきた。 「受け取れ! オレのインセクトザーメン!」  男のアナルを犯すカイトのカブトマラからは、最初の時程でもないがそれでもやはり濃く大量のザーメンが噴き出し、男の腸内を満たした。 「あぐっ、あぐああああああぁ!!」  そのザーメンは腸内に留まることを知らず、尻の穴から溜まり切らずに噴き出しはじめる。はじめはドロドロとした液体だったそれは、細く長く質量をもち、まるで糸かのように変化していく。そして、かつてカイトの身に起きた時と同じように、みるみるうちに男を繭に変えていった。  そしてそのまま男の体を作り変えていく…… ――――――  一日後、無人になったキャンプ場の公衆トイレにはひとつの青色の巨大繭がまるで眠っているかのように静かに蠢いていた。  その繭は音を立てて殻を破る。  仲間達に見守られ、狭い繭の中から新たな同胞が誕生した。 「俺はスーパー・グレート・インセクト・ユーゾー! これから俺はカイト様の永遠のセックスフレンドだぁ!」 「歓迎するぜ新しい仲間!」 「次は俺とヤるか?」  男は新たなグレート・インセクトとして生まれ変わり、仲間とともに二回戦へと勤しむ。そんな彼らを尻目に、カイトが鏡の前でうっとりと自分の姿を眺めていた。 「やっぱり、僕って何度見てもカッコいいなぁ……あれ? 僕ってこんな、虫みたいな体だったっけ……  昔の僕は、虫が好きで、虫が、好きな、しょう、がくせい……あっ!?」  ふと、カイトは霞の中に消えた何かを唐突に思い出す。しかしその瞬間、身もよだつようなおぞましい快感が襲うと…… 「ヌオッ!? んふうぅ…………」  濃厚なザーメンを、手も使わずひとりでに射精して顔を蕩けさせた。 「あれ? カイトさん、またセルフトコロテンっすか。それどうやったらできるんすか?」 「ア? 何のことだ?  ありゃ、また勝手に出ちまったのか。オレって早漏通り越して壊れた蛇口じゃねェかガハハハッ!」  高らかに笑いあげるカイト。  彼の人生は180°変わってしまったが、彼が幸せそうなのでそれも良いのだろう……  そして彼は、このまま何十年も何百年も虫男として気ままに仲間達と快楽を貪り続けるのだろう……

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