雨が楽しくなるカッパと長靴
Added 2021-07-27 20:27:43 +0000 UTCしとしとと、絶え間なく空から雨が降り続ける季節。そんなある日の朝に憂鬱な面持ちで溜息を吐く少年がいた 「はぁ……学校行きたくないなぁ。風邪でも引けば休めるのに」 少年の名前は不破克郎。都内の小学校に通う小学三年生。彼は毎日降り続ける雨に辟易していた。雨だと当然外では遊べず最初は教室や体育館で遊んでいたのだが、一ヶ月近くも雨が降り続けている状況が続き克郎は我慢の限界に達していた。 毎日傘を持って行かなくてはならないし、それでも役に立たず濡れて帰る事も多かった。仕舞いには先日お気に入りだった傘を壊してしまい克郎の元気はさらに下がる一方だった。 「お母さん、俺今日学校休みたい」 「ダメよ、学校にはちゃんと行かなきゃ。それに、新しい傘買ったじゃない。傘も使ってあげないとかわいそうでしょ」 「そんなこと言ったって」 「つべこべ言わずさっさと行きなさい!」 母親にも怒られてしまった克郎は仕方なく新しく買った傘を差して学校へ向かうのだった。 そしてそんな克郎に、ある不思議な出来事が起こることとなる。 「今日も雨だね」 「うん」 克郎は通学途中に偶然見かけたクラスメイトの河津瞳と一緒に学校へ向かっていた。瞳は明るい性格の少女で、そのためか克郎も彼女とはよく話していたが、一緒に通学するのはこれが初めてだった。 「どうしたの? 克郎くん」 「なんでも」 克郎は、学校では普段よく話しているはずのクラスメイトに、何故か不思議な感情を抱いていた。普通に話すだけなのに、何故か言葉が出てこない。彼女の顔をじっと見ることができない。 (もしかして俺、河津さんのことを? いや、でも昨日までそんなことなかったし……きっと、初めて一緒に学校に行くから緊張してるだけだ) 心の中ではそう思っている克郎だったが、やはり瞳に対する感情は普通のクラスメイトとは違う特別な感情を抱いていた。無自覚に彼女に恋でもしていたのだろうか。それはまだ彼には明確に理解しうることはできなかった。 「俺、雨嫌いなんだよね。外で遊べないし」 「私も。もっと雨が楽しくなればいいのにね」 そんな他愛のない話をしながら通学路を歩く二人。そんな二人の目に止まったのは、ある露店。白い布で雨を凌いでいるものの簡素な作り故に今にも崩れそうな、そんな店だった。 そしてその奥には店主らしき怪しげな壮年の男が一人座りながらこちらを見ており、テーブルには彼が売っているのであろう商品がいくつか置かれている。 普通ならばそんな店には気にも留めない二人だったが、今日は何故かその不思議な雰囲気を持つ露店に興味を惹かれていた。 「あの、それは何ですか?」 おそるおそる店主に話しかける克郎。店主はにこりとぎこちない笑みを浮かべながらこう言った。 「私は各国から集めた色々なものを売っているんだよ。これは、雨が楽しくなるグッズさ」 そう言って店主は机の上を指差す。そこには子供用の傘、カッパ、長靴など色々な物があった。 「雨が楽しくなる……?」 「そうだよ。これを着けた子はどんなに雨が嫌いな子でも好きになってしまうのさ。凄いだろう?」 「ほんとかなあ……?」 怪訝な表情を浮かべる克郎。そんな克郎を尻目に瞳が店主に話しかけていく。 「それ、いくらですか?」 「どれでもひとつ百円だよ。買うかい?」 その言葉を聞いた克郎はこっそりランドセルから財布を取り出す。親が何かあった時にと用意してくれたものだ。中には十円玉や百円玉が何枚か入っていた。 「じゃあ、私そのカッパ買います」 「まいど」 瞳は財布から百円玉を取り出し店主に払う。店主はそう言うと笑みを浮かべながらカッパを瞳に渡した。 それを見た克郎は、自分も買ってみようかなと思った。 「じゃあ、僕も……それください」 克郎は長靴を指差すと、すぐに百円玉を店主に支払った。 「まいど」 手渡された緑色の長靴は、つんと新品のゴムの匂いがした。ふと隣を見ると瞳が早速購入したカッパを着ている。緑色の可愛らしいカッパを着た瞳からはまた違う魅力が感じられた。 「克郎もここで履いたら?」 「でも、俺の靴は」 「手で持っていけばいいじゃない。帰りは袋とか学校で借りて入れていけばいいんだし」 「そ、そうだね」 瞳に言われるがまま克郎は履いていた靴を先程買ったばかりの長靴に履き替えた。濡れたコンクリートの床を長靴で踏み締めるとピチャン、パチャンと音がした。 「まいどあり……」 ◆ 「……あれ?」 ふと、克郎は立ち止まる。 カッパと長靴姿の二人は、そのままいつものように学校へと向かう通学路を歩いていた――はずだった。なのに―― 「ここ、どこ?」 克郎と瞳がが立っていたそこは、明らかに通学路である街中ではなかった。そこら中に蒼々とした木々が揺れ、ぬかるんだ土には水たまりがまばらにある。そこは明らかにどこか知らない森の奥のように見えた。 「……あれ? 確か私達、さっきまで商店街にいたよね? どうなってるの?」 「俺にもわかんないよ! ここどこ?」 突然知らない場所まで来てしまった事実に困惑する二人。そんな二人をさらに困惑させる出来事が起きる。 「な、なにこれ!? カッパが……」 瞳の着ていたカッパが緑色に発光しだしたのだ。内側から淡く光を放つ瞳のカッパ。同時に、克郎の長靴からも同様の光が放たれていた。 「俺の靴も!」 「何これ!? 外れないっ……!」 パニックになっている心を抑えながら二人は原因であろうそれを外そうとする。が、しかしいくら力を込めて引っ張っても、身につけているそれが一向に外れない。 さらに追い討ちをかけるように、瞳のカッパに異変が起きる。 「きゃあああっ!?」 「河津さん!?」 瞳のカッパがドロドロに溶け出したのだ。緑色の液体と化したカッパは瞳の体を見る見るうちに覆っていく。あっという間に瞳は全身を緑の粘液でコーティングされてしまった。 「やだ……なにこれ、やめて……うあ゛あ゛ああ!?」 必死にもがく瞳からパキパキ、ゴキゴキと不気味な音がしはじめる。彼女の涼やかな声がそれと同時に低くなっていき、悲鳴は不気味な鳴き声へと変わっていた。 身長がぐんぐんと伸びていき、大人の体格へと急成長していく。しかしその体は女性特有のボディラインへと成長することはなかった。 腕と足は成人の人間の平均を遥かに超える長さへと伸びていき、そこから全身にかけて筋肉が盛られていく。女性にとっては有り得ないくらいの強靭な筋肉が、瞳の全身を彩っていった。 平らな双丘が男性ならば誰もが夢見るゴツゴツとした胸筋になると、そのまま余った筋肉が下へと移動してボコボコとシックスパックの腹筋を形成する。そんな強靭な上半身を支えられるよう下半身も同じように硬くてしなやかな筋肉を付けていく。 「いやぁ! 私の体がぁ!」 そんな叫びも虚しく瞳の変化はさらに続く。手と足の指の間に膜が張っていき水掻きへと変化する。背中には筋肉以外に何やら固い楕円系のものができていく。 「ま、さか、こレ゛ェ゛ェ゛ェ゛ぇェ゛ッ!?」 声を発している途中に首回りの筋肉が急速に発達し喉仏を形成したために瞳の口からは野太い雄叫びが響いた。 更に瞳の自慢だった長くて艶やかな黒髪にまで侵食は進む。はらはらと髪が次々と抜けていき、地面に力なく落ちる。なんといたいけな少女の頭は、中心から円を描くように禿げてしまっていた。かろうじて周りに残った髪はボサボサで短くとても正視に堪えられるようなものではなくなっている。 「嫌よ、こんなの……誰か、たすっ、グエエエエェ゛!」 しめられた鶏のような声をあげながら瞳のとどめの変化が始まる。 口が鼻にかけて一気に引っ張られ、そのまま硬質化していく。先が鋭く伸びたそれは肌色から濁った緑色へと変わっていき、そのまま顔全体にその色は広がっていった。 「う、うあぁ……あっ!?」 クラスメイトだったはずの少女の変貌に狼狽する克郎。そんな克郎にも変化が訪れる。長靴がドロドロに溶け出し足を覆うとすぐに固まっていき新たに形を形成する。それは水掻きのある緑色の足だった。しかもそれは足だけに飽き足らず、上へ上へと侵食を進めていく。 それと同時に克郎は腹の中が風船のように膨らむ感覚を味わっていた。胃の中がぷくぷくと膨張していくような感覚は強烈な吐き気をもたらした。 「んぐぅおおおおっ!? ぐげっ!」 叫び声をあげる克郎の喉がぷくりと膨らむと、口から真っ赤な舌を吐き出した。それは自分の体と同じくらいの大きさのものだった。 「うっ……うおおっ……」 思わずうずくまる克郎の体はすでに半分以上が緑色のぬめぬめとした皮膚へ変わっていた。さらにその体がぐんぐんと膨らんでいく。全体的に丸く豊満にその体を成長させている。 「あっ、うぅ……げっ、グゲゲッ、ゲコォ……」 苦しそうに呻く声は低く響く妙な音が混ざり始め、そのたびに喉元の“袋”が膨らんでいる。それと同時に肉体も丸く大きな体へと変わっていく。着ていた服は大きくなっていく肉体に耐えきれずボロボロの布切れと化していた。 全身の皮膚はほぼ緑色になっており、腹部だけが真っ白な皮膚のまま残っていた。元の人間の肌色はほんの少しまだらに残っているだけだ。 「ゲゴォっ……ぁ、っ……グガアッ……」 克郎は小学生の人間の面影をほぼなくしていた。 足の水掻きは手の平にも及び、全身緑のぬめりのある皮膚、黄色く濁ってしまった瞳、真っ赤に伸びる舌、丸々と太った身体――克郎はまさしく蛙人間と呼べるであろう姿になってしまっていた。 蛙のような呻き声をあげて苦しむ克郎。そんな克郎に声をかけた者がいた。 河童男と化した瞳であった。 「克郎くん……大丈夫?」 筋骨隆々の体をのそりと動かして筋張った手を体を丸める克郎の肩へと置く。瞳本人もどうしていいか分からなかったのだが、とにかく苦しむ克郎を見てはいられなかった。 「俺……カエルになっちゃった……どうしよう……」 「とりあえず、ここを出よう、なんとかしよう! きっとここを出ればなんとかなるよ!」 「河津さん……」 瞳は確証のない希望を口にしながら克郎を起こす。雨は相変わらずしとどに降り注いで葉っぱや土を濡らし水たまりを作っている。森の中で降る雨により辺り一帯の湿度はさらに上昇していく。それが二人に新たな変化をもたらした。 「なに……これ……」 「頭がボーッとして……フラフラする……」 克郎と瞳は自らの体に異変を覚えていた。視界がぼやけ、正常な判断ができなくなっていく。 何故、自分はこうしているのだろう? 何をするつもりだったのだろう? そんな疑問が二人の頭の中を支配し正常な思考回路を汚染していく。最早ここがどこなのかも分からなくなりそうだった。 「あぁ……克郎くん……」 「河津……瞳ちゃんっ……!」 湿気により高まった熱を冷まそうと、あろうことか二人は強く抱き合いはじめた。二人にはヌルヌルの粘膜に覆われたお互いの体が妙に心地よく思え、さらにその行為はヒートアップしていく。 その時―― 「ああっ!?」 最早ぼろ切れと化していた二人の衣服がひとりでに分解されていく。分解された服は繋ぎ合わされると、一枚の真っ白な布切れへと作り直されて二人の股間をぐるりと保護するように覆った。 「なにこれ……もしかしてこれってお相撲さんの……」 それは廻しだった。装飾も何もない、ただ真っ白な廻し。それが今二人が身につけているたったひとつの衣服であった。 「んっ……どうしようこれ……外れないっ……!」 克郎は慌てて廻しを外そうとするものの、どんなに力を入れてもそれは外れるどころか緩みすらしなかった。 「くっ、ああっ……あれ……?」 それでも必死に外そうとする克郎だったが、そんな克郎にふたたび火照るような熱さが襲った。その場に充満している異常な湿気が克郎を快楽の渦へと堕としていく。ふと目の前を見ると、自分と同じように必死に廻しを外そうとしている瞳の姿があった。 「何よこれっ……んっ……なんかおかしい……いやっ、このままじゃ……」 必死に体を動かしているせいなのか、ここの湿気のせいなのか、瞳の体からは大量の汗が流れていた。その汗が熱により蒸発し、水蒸気を発生させている。 その水蒸気の、瞳の汗の匂いを感じた瞬間、克郎はその廻しに隠された股間を無意識に膨らませていた。河童と化した瞳の匂いは魚のような生臭さと雄の体臭を混ぜ合わせたお世辞にもとても良いとは思えないものだったが、その匂いに何故か克郎は興奮していた。理性を失わせるほどに―― 「……うおおっ!」 「……えっ? きゃっ!」 瞳は突然柔らかな肉の塊に押し潰された。それはカエルと化した克郎の脂肪のついた体だった。ムチムチとした弾力のある脂肪の底にはゴツゴツとした筋肉の感触がある。 「何、やめてっ……かつろっ……あっ」 はじめは抵抗していた瞳だったが、克郎の体の何とも言えない心地よい感触に、いつしか自ら克郎に身を委ねてしまう。彼女の廻しの中では、本来ならば存在しないはずの肉の突起が鎌首をもたげはじめていた。 「やっ、何これ……私のお股に……これって……」 昨日までは体感し得なかったはずの感覚が、今まさしく瞳の股座にある。それは熱を帯びながらさらにヒートアップしていく。それまで保てていたはずの理性は、その感覚に少しずつ浸食されていった。 そしてその感覚を感じているのは瞳だけではなかった。 「あっ……や、やばいっ、俺のっ、チンチン……何かおかしい……このままじゃ俺っ……」 口から荒い息を吐き出しながらうわ言を呟く克郎と瞳。その行動はいつしか淫らな性質を帯びはじめていく。 「や、やばいっ、ジンジンする、ビンビンくるっ、わっ、私、やべえっ、やべぇのぉ!」 「お、俺は、どうしてっ、はぁっ、こんなことを、んっ、だって俺はっ、カエルでっ、おおっ! ちがう、おれは、ニンゲン……ぬおっ」 初めは恐る恐るだったその手つきが段々と確信めいたものになっていく。背中へ回されていた手が胸や腹に移動したと思うと、いやらしく揉むような動きへと変化する。その度に二人は発情していた。 「オッパイ揉まないでよ、あんっ、エッチ……でも克郎くんのおなかも、ブヨブヨしてて、んっ、気持ちいい……ぬふぅっ……」 「すごい筋肉……瞳ちゃん、さっきまで女の子だったのに……うおおっ! 腹揉むんじゃねえよ……おかしくなりそうだ……」 感じているのか逐一喘ぎ声をあげる二人。そんな二人のまぐわいはさらにエスカレートしていく。 「んっ……」 「くちゅ……んむぅ……」 二人の唇と嘴が重なった。克郎の長い舌を利用して、瞳の嘴の奥の短い舌に巻きつくように絡み合っている。端から際限なく垂れてくる涎など気にしないと言わんばかりに二人はただ欲望に身を委ねながら舌を絡ませる。 お互いがっちりと抱き合った体は、さらに力強く押すような形になる。互いに滾りに滾った下半身を擦り付け合って逸物の怒張を慰める。 「おっ、んんっ! ……たまらんっ!」 野太い声で叫ぶ瞳。克郎も一心不乱に廻しの中の逸物を相対する河童の逸物へぶつけるように押し付ける。負けじと瞳もカエルの逸物に対抗する。 廻し姿のせいでそれは一種の相撲にも見えたが、しかしそれはまさしくただの淫行であった。元はただの少年少女だった二人が、今や筋骨隆々の河童、片や超肥満体のカエルとなってただ性欲を貪り合っている。 「おごっ!? ……な、なんか出るっ! コレなんだっ、はっ、俺のチンコから、なんか込み上げてくるっ!!」 「私もだっ! 股が熱い! んぐっ、股から何か熱いモンがっ、せり上がってくるようなっ……!」 それもとうとう終わりの時がやってきていた。快感のボルテージは上限を突破し、絶頂へと転換する。パンパンに膨れ上がった種袋からは今まで“溜め込んできた”欲が一気に放出されようと収縮する。廻しはとめどなく溢れてくる我慢汁ですっかり濡れていた。 そして、その時はやってきた。 「やっ、やめっ、やべえ! うほぉぉぉぉぉォ!」 「んおおおおおおッ! ぬぐうッ!」 二人は廻しの中に盛大に精を吐き出した。夥しい量のオタマジャクシが廻しの川を泳ぐ。やがて川は氾濫し、水溜りを作っていく。それはまるでいつまでも降り続ける豪雨のようだった。 「ふぅ……ふぅ……んぐぅ……」 「きっ、きもちっ……アタマ……クラクラする……!」 あまりの快感に幼い二人の脳は混乱し、あろうことかありえないはずの異常な指令を流した。大量に分泌された快楽物質により狂った脳細胞が電流を隅々に送り込む。 「……グヘヘッ、気持ちよかったぜェ、克郎」 「お前もな、瞳」 二人の脳は、『自分は淫らで助平な”河童親父“と”カエル親父“である』と自らを改めてしまった。快楽により狂った元々の人格は脳の奥底へと閉じ込められ、今や二人の変態親父だけが残ったのであった。 ◆ その頃、克郎の家では―― 「もしもし、警察ですか!? 克郎が……うちの息子が二日も帰ってきてないんです……! 河津さんも帰ってきていないということで、何かあったのではないかと……」 克郎の母がその目に涙を滲ませながら電話を掛けている最中だった。 克郎が家を出てからすでに丸二日が経過しており、当然ながら家や近所では騒ぎになっていた。事故や誘拐事件を疑われたが、それらしい証言は通学時に二人を目撃した人間がいるということぐらいであった。 「克郎……どこなのよ……早く帰ってきて、私にあなたの顔をまた見せてよ……」 母はただ祈っていた。愛する息子がまたこの家に帰ってくることを。またいつものように穏やかな日常に戻ってくることを。 ◆ 「またヤろうぜ、アレ……ワシ、もうチンポが疼いて仕方ねえんだわ。なァ、いいだろォ?」 しかしそれは叶うことはない。 彼はもうあどけない少年ではないのだから。 淫乱なカエルの中年親父になってしまったのだから。 「仕方ねェな……ま、オイラもそろそろヌきたかったころだしな。なんつーか、そろそろ出さねえといけないとも思ったしな……」 瞳も既に少女の面影は一つとしてない。 そこにいるのは筋肉の鎧で覆われた河童の中年親父。 そして今から再び情欲に満ちた大一番が執り行われようとしていた。 「イクぜェ……」 「応ッ!」 二人は再びがっしりと組み付く。全身を密着させて、お互いの淫乱な姿や、肉の感触や、ぶつかり合う音や、汗の匂いを五感で感じながら。 ぐぐりと元気に鎌首をもたげはじめた逸物を廻し越しにぶつけ合う。 「ほっ、ほおうっ!」 「ああぁ! んっ、やっぱ気持ちえェ! もっ、もうやべえっ! もう出ちまう!」 「ワッ、ワシも……もう我慢できん! イクッ! イッちまう!」 欲望の湯気に覆われた二人の股間は、今にも火を吹きそうな勢いで熱を帯びる。そんな熱を冷まそうと逸物のホースが今にも噴射されそうにビクビクと小刻みに痙攣する。 そして…… 「んほぉぉぉぉぉッ!」 「ぬふぅぅぅぅぅッ!」 雄叫びと共に、二人同時に真っ白な雨を降らせた。その量はいつも以上に多く、その濃さはいつも以上に濃厚だった。 ◆ 「克郎………… あら? 私、一体何をしてたのかしら? 克郎って? 誰のこと? そんな人私の知り合いにいたかしら……」 克郎が盛大な射精をしたと全く同じ瞬間、克郎の母は自分の愛する息子の事をすっかり忘れていた。 いや、彼の存在そのものが消滅してしまった――と云った方が正確だろう。 親だけではない。 家族も、親戚も、学校も、友達も――もう彼の事を覚えている者は一人もいないだろう。 何故なら、不破克郎という人間はもうこの世には存在していないからだ。 ◆ びたっ! びたたたたっ!! ぬかるんだ土に精液が叩きつけられる。彼にとって不要な要素を全て詰め込んだ精液が。 「ふい〜〜。やっぱこれはスッキリするなァ〜」 「オイラなんか、キンタマだけじゃなくてアタマん中もスッキリしちまったぜ。まるで生まれ変わったみてェでい」 「奇遇だな。ワシもだ。グハハハハ!」 お互い憑き物が落ちたかの如く笑い合う。しかしそれは爽やかさの中に隠しきれない下品さが混ざっていた。 「そういや、オマエ、名前変えねェか? 瞳なんて女みてェな名前、似合わねえって」 「確かに……なんでオイラ『瞳』って名前なんだったか……でもテメェも『克郎』って感じじゃねぇだろ。変えるんならテメェも変えやがれ!」 「確かに、ワシも『克郎』よりは別の名前がいいなァ……『ゲコ助』ってのはどうだ?」 「悪くねェな。じゃあオイラは『川吾郎』だ! これからよろしくなゲコ助!」 「応、川吾郎!」 こうして克郎改めてゲコ助と、瞳改めて川吾郎は、いつまでも仲良く暮らしたのであった。 「んっ、ぬおおっ、ハッ、ハッ、矢張りっ、川吾郎の中は、最高じゃあ!」 「くそっ、あっ、悔しいがゲコ助には勝てん……っ、相撲も性交も日に日に上手くなりやがって……おっ、でも明日は、オイラがっ、勝ってみせるからな!」 「応ッ! いつでも来いや!」 それから二人は雨の降り続ける森の中で毎日のように相撲とセックス三昧の毎日を送っている。 もう二人にとって雨は嫌なものではなく、自分達に恵みを与える素晴らしきものであった。 完